ウェブサイトのカラーコーディネートを専門とするカラーコーディネーター坂本邦夫が、読みやすく使いやすいホームページの配色についての記事を公開しているサイトです。
色彩の基礎知識から、配色の作り方、競合サイトとの色の比較方法や色のアクセシビリティまで、一通りの配色知識を学ぶことが出来ます。また、最新の情報や成果などもここで発表していきます。
今年(2010年)に改訂されるとされるWeb JIS(JIS X8341-3:2010)の公開レビュー版を読みましたので、文字色について少し書いてみようと思います。正式版ではどうなるやらわかりませんが、大きく変わることもないでしょう。
と言うわけで公開レビュー版で出てきている内容は、W3Cが勧告したWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0の内容と同じものになっております。各国で基準が異なるというのもおかしな話ですので、世界的な標準となるWCAG2.0に従ったというのは大変評価出来ることだと思います。
2004年版が「背景色と文字色で十分に明度差を付けなさい」とか「色だけで情報を区別せずに、文字情報と合わせて使いなさい」と言ったような、言ってみれば大雑把な指針が示されただけなのですが、今回の改訂で最も重要な部分として、きちんと数値化された達成基準が示されたことにあります。
今回の改訂では文字色の達成基準は文字コントラストによって示されています。では文字コントラストとは何かと言うことですが、以下の式で表されます。
コントラスト比 (L1 + 0.05) / (L2 + 0.05)
このL1は明るい方の色の相対輝度、L2は暗い方の相対輝度を表します。ではこの相対輝度はどのように計算されるかと言いますと、
- 相対輝度
- L = 0.2126 * R + 0.7152 * G + 0.0722 * B
また新しいRGBという記号が出てきましたが、こちらについては、
- if RsRGB <= 0.03928 then R = RsRGB/12.92 else R = ((RsRGB+0.055)/1.055) ^ 2.4
- if GsRGB <= 0.03928 then G = GsRGB/12.92 else G = ((GsRGB+0.055)/1.055) ^ 2.4
- if BsRGB <= 0.03928 then B = BsRGB/12.92 else B = ((BsRGB+0.055)/1.055) ^ 2.4
として定義されております。ついでにRsRGB、GsRGB、および BsRGB は
- RsRGB = R8bit/255
- GsRGB = G8bit/255
- BsRGB = B8bit/255
このような式で計算されます。この計算結果は1:1~21:1の間の値を取るのですが、この比が4.5:1を超えていれば達成基準AAをクリア、7:1を超えていれば達成基準AAAをクリアしていることになります。
また大きいサイズの文字(半角英数字なら18あるいは14ポイント以上の太字、日本語のフォントであれば22あるいは18ポイント以上の太字)の場合には、達成基準AAを満たすためには3:1、達成基準AAAを満たすためには4.5:1というように、フォントのサイズによっても基準は変わってきます。
とは言え、このような複雑な計算を毎回やってられませんので、インフォアクシアさんが提供されているカラー・コントラスト・アナライザー 2.2 日本語版を利用することにしましょう。
では背景色が白い場合のコントラスト比を実際に見てみましょう。12ptと18ptの文字を用意しました。背景色は#FFFFFFの白、文字色は#000000の黒から#111111、#222222のように順に明るくしていきます。
| 文字色 | コントラスト比 | 達成基準AA | 達成基準AAA |
|---|---|---|---|
| #000000 | 21:1 | OK | OK |
| #111111 | 18.9:1 | OK | OK |
| #222222 | 15.9:1 | OK | OK |
| #333333 | 12.6:1 | OK | OK |
| #444444 | 9.7:1 | OK | OK |
| #555555 | 7.5:1 | OK | OK |
| #666666 | 5.7:1 | OK | NG |
| #777777 | 4.5:1 | OK | NG |
| #888888 | 3.5:1 | NG | NG |
| #999999 | 2.8:1 | NG | NG |
| 文字色 | コントラスト比 | 達成基準AA | 達成基準AAA |
|---|---|---|---|
| #000000 | 21:1 | OK | OK |
| #111111 | 18.9:1 | OK | OK |
| #222222 | 15.9:1 | OK | OK |
| #333333 | 12.6:1 | OK | OK |
| #444444 | 9.7:1 | OK | OK |
| #555555 | 7.5:1 | OK | OK |
| #666666 | 5.7:1 | OK | OK |
| #777777 | 4.5:1 | OK | OK |
| #888888 | 3.5:1 | OK | NG |
| #999999 | 2.8:1 | NG | NG |
12ポイントの方では白(#FFFFFF)の背景色に対し、文字色#777777までなら達成基準AAを、#555555までなら達成基準AAAもクリアすることが出来ます。次に大きなフォントとされる18ポイントの方では、#888888までで達成基準AAを、#777777までで達成基準AAAをクリアすることが出来ます。
もちろんフォントの形状などによっては、見やすさは変わってきますので、「最低限」とされるAAではなく、「より十分」なAAAを目指していくのがよいでしょう。また、この基準をクリアしたからと言って、読みやすいとは限りません。特に加減ぎりぎりになってくると、色相などによっても読みにくく感じてしまうでしょう。
背景色が#FFFFFFの白の場合に限って言えば、背景色と文字色との差が小さいほど柔らかい印象に見えますが、私の個人の主観としては、柔らかさを表現するために文字色を#666666以上の明るさにする必要を感じません。もしそれが必要なのであれば、その他の部分の色で表現することが可能だからです。
今回のJISの改訂は「こうした方がよい」と言うものではなく、「こうあるべきである」と言うことを示したものです。Webや色彩のプロフェッショナルがまず範を示し、広く世の中に知らしめるようにしたいものです。
投稿日時: 2010年02月19日 13時21分
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タグ: JIS X8341-3, アクセシビリティ, 可読性
画面の急激、高速の変化は読みにくいばかりでなく、光感受性発作などを引き起こすことがあります。(JIS X8341-3, 5.7.a-b)
1997年に起きたいわゆる「ポケモン事件」で番組を見ていた子供達が次々と病院へ運ばれたのを覚えておられる方も多いと思います。赤と青の光が交互に点滅したことが原因と言われております。
このような症状は光過敏性てんかんなどと言われており、点滅が1秒間に15回~20回の時に症状を発しやすいと言われております。また赤と青の点滅で特に起こりやすいというようなことも報告されております。
以前はJavascriptなどを用いた画面の点滅などが使われたウェブサイトを多く見かけました。最近では見かけなくなりましたが、使用しないように注意しましょう。
アニメーションGIFなどの画像の切り替えは今でも良く見受けますが、これも切り替わる前と後の色相・明度・彩度の変化を極力抑えるように気を付けます。
早い周期での大きな変化は目に負担が掛かるばかりでなく、そこに載せられた情報の認識もしにくくなりますので、注意しましょう。
重要な情報をこのようなアニメーションの中に組み込むと、閲覧者が目を凝らしてアニメーションを見なければならないため、光過敏性てんかん以外にも気分が悪くなったりの諸症状を引き起こす可能性があります。このようなことを考えて重要な情報を早い周期の点滅の中に組み込むことは避けるべきでしょう。
JIS規格では「1秒間に2回以上の点滅を行わない」「彩度の高い赤での点滅、コントラストの強い画面の反転を避ける」のように例示されていますが、実際は1秒に1回の点滅でもかなりせわしなく感じることがあります。右に掲載したサンプルは3秒に1回の点滅です。
投稿日時: 2010年01月27日 19時54分
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タグ: JIS X8341-3, ポケモンフラッシュ, 点滅
視覚障害がある方が利用する場合でもテキストが読みやすいような組み合わせについて検討しております。(JIS X8341-3, 5.5.c)
JISX8341-3 5.5.cに対応する部分で、視覚特性によっては背景色と文字色の関係から読みにくい組み合わせが存在することが指摘されています。
文字の見えやすさを視認性、読みやすさを可読性と言いますが、これは主に背景色と文字色の明度差に依存します。色覚障害の場合や加齢による場合など様々な条件が考えられますが、適切な視認性・可読性を確保するには、一般的には中央のサンプルのように明度差を大きく取るようにします。弱視の方などでOSのハイコントラスト機能を使って画面を閲覧する場合でも明度差がないと文字の判別がしにくくなります。
また画像などの場合には、明度差の大きな色で文字を縁取りしてやることによって、読みやすくなることがあります。
ウェブの様々な規格を制定するW3C(World Wide Web Consortium)のアクセシビリティ・ガイドラインであるWCAG2.0では、コントラスト比を用いた計算方法が推奨されています。
計算方法は難しくないのですが、株式会社インフォアクシアが簡単にチェックできるツール「カラー・コントラスト・アナライザー」を公開しておりますので、それを利用するとよいでしょう。
W3Cの「Techniques
For Accessibility Evaluation And Repair Tools」の中で読みやすさの計算式の試案が提示されております。下記のものがそれにあたります。
実際に計算を行うのは非常に大変なことですが、既出のカラーコントラストチェッカーや富士通から提供されているColorSelectorを用いれば、計算することなく視認性・可読性を確保することが出来ます。どなたにも使いやすいサイトの第一歩としてお使いになられることを推奨いたします。
追記:Web JIS(JIS X8341-3:2009)の改訂版では、WCAG2.0のコントラスト比が読みやすさの達成基準としてそのまま採用されております。そちらについては「JIS X8341-3:2009における文字コントラストの達成基準」のページで詳しく記述しておりますので、そちらを参照してください。
投稿日時: 2010年01月27日 19時10分
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タグ: JIS X8341-3, アクセシビリティ, 可読性, 視認性
色彩で区別するだけでは全ての方にわかりやすい情報とは言えません。グラフ、ボタンを例に挙げて解説しています。
視覚に何らかの問題がある場合、色だけで情報を区別していては、その理解を妨げることもあります。
左側のグラフが悪い方の例になります。色だけで情報を区別しておりますので、その色自体の区別が付かなければ、A社が実際にどこの領域に対応しているのかがわからないということになります。
対して、右側は引き出し線を付けることによって、領域と文字が1対1で対応しますので、どのような方にもわかりやすいということになります。
これはグラフの表示に留まらず、ボタンなど操作が必要な部位には特に重要になってきますので、特に気を付けるようにしましょう。
また色だけに頼らず、模様を併用する場合にも注意が必要です。色彩と模様のみで区別しようとすると、左側の例の黄色のように明度の高い色は模様が見分けにくくなります。
また水色の部分のように、特に面積の小さなところでも模様がわからないことがありますので、どのような状況であれ、文字の情報を領域と一致して表示するような工夫が必要です。
投稿日時: 2010年01月27日 19時03分
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タグ: JIS X8341-3, アクセシビリティ, グラフ, 情報の伝達

元ウェブデザイナーの経験から、操作が必要なもののカラーコーディネートを得意としております。ウェブカラーに関する講演や執筆も多数あります。写真は飼い猫のぶるたんです。
アクセシビリティ アクセントカラー コーポレートカラー サイトの目的 サブカラー ジャッド トーン ベースカラー ユーザビリティ レイアウト 中性色 分析 可読性 執筆 売れる色 失敗 寒色 彩度 心構え 情報の伝達 明度 暖色 書籍 有彩色 業務委託 無彩色 競合サイト 背景色 色の三属性 色の心理的効果 色彩調和論 色相 色相環 視認性 調整 調査 配色 配色サンプル 閲覧環境 面積 面積比 類似色相 CIカラー HSBカラーモデル JIS X8341-3
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